【多少ネタバレ注意】新海誠監督「星を追う子ども」を観てきた

【多少ネタバレ注意】新海誠監督「」を観てきた※この記事は物語の深層には触れない程度の感想を述べたネタバレが存在します。
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 なんだかぼんやりした映画だなあ。
 と、「ぼんやり」という言葉を作品中盤で思いつき、それから最後まで観おわってからも「ぼんやり」という4文字以上にこの作品を表している言葉はないんじゃないかな、と思うくらい自分の中ではしっくりきています。

 料理でもぼんやりした味、という表現をすることがあるかと思います。まさにそれに近い感覚で、全体を通して引き締まっている部分がない。ずっと同じ濃度で、同じような味付けで。

 でも味が薄いわけではないんです、むしろ濃密。初っぱなからいろんな記号をばらまくわばらまくわ。監督はこうしたジュブナイル作品でやりたいことがたくさんあって、それを取捨選択できずにほとんど詰め込んじゃったんじゃないかな、と感じてしまいました。もちろんその記号を全てきちんと登場させているのは素晴らしい腕だと思います。しかしその割には話の展開に広がりを持たせておらず、温度差を感じました。

 主人公アスナの旅の目的があいまいすぎて、最初から一緒に心情を追っていたはずの観客ですら終盤の「何のためにここへきたのか?」の問いには「ほんとになんで?」と苦しむことでしょう。私は未だにわかりません。先ほども述べたように、序盤の展開が急ピッチすぎて登場人物同士の関係が描き切れていないのが問題でしょう。特に一番重要な生死の問題についてはかなりそれぞれの人物について掘り下げて描かなければ難しい。そうなれば、冒険部分を含めるととても2時間の枠に収めるのは無理です。
 だから序盤を荒削りにしたのかもしれませんが、そうであれば冒険部分の密度に変化を出して純粋な娯楽作品に仕上げるべきではなかったのでしょうか。生死とは何か?アスナが旅に出た理由は?という問いかけを行うべきではなかったのです。
 
 美術関係にもぼんやり感が。確かにそれぞれの場面を切り取ると綺麗に描けてるなあと思うのですが、ファンタジー部分ではなんだか背景がぼんやりしているような気持ちになります。「空の向こう」や「秒速3センチ」の背景が、ロケハンを繰り返して描かれた日常の風景なのに対して、ファンタジー世界は正反対の位置にあるものといって過言ではないでしょう。それだけで完結しているような、緻密な風景画のようなワンシーンは今回ありませんでした。
 
 声優さんは総じて良かったですね。さすが本職です。有名俳優を配しないあたり好感が持てます。
 天門さんの音楽も素晴らしい。演出が微妙だったので印象に残ってる曲ってのがないのが残念ですが・・・。曲の使い方が前作と比べてちょっとぼんやり。
 
 総評として。新海監督のやりたかったことがズドーンっと伝わってくるのですが全然まとまってなくて、映画作品としては「ぼんやり」以外に表現の術を持たないほどの作品でした。劇場で観るべきかどうかは、その「ズドーンっと伝わってくる」監督の意志の部分に価値を見いだせるかどうかだと思います。
 新海監督の次回作が気になる作品ではあります。まだ荒削りに見える今回を踏み台として、どんな作品を登場させてくれるのか。

星を追う子ども コンプリート

Tatsuya/spyral について

ぎりぎりアラサーな雇われ機械設計技術者。工作機械・航空機搭載機器・自動化ラインなど広く浅くやっております。使用可能ツールはCATIA,Inventor,Pro/E(Creo),Femapなど。 岡山県在住。大阪、名古屋に在住歴。熱しやすく冷めやすい、広く浅いオタクです。中学の頃から中二病+PCオタクを発症したままオッサンになりました。二次元ではない嫁を探しています。 ガジェット、カメラ、Android、3Dプリンタ、フィギュア造形、に興味があります。 積ん読好きです。読書目標は100冊/年。
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