梶尾 真治:さすらいエマノン

「おもいでエマノン」の続編。

その基本的なところは相変わらずのエマノンだけど、色々と意外な側面を見せてくれる物語もある。

地球上の生物の記憶をほぼ全て持っている彼女の物語らしく、スケールはどれも壮大なものに。SFとしての奇抜な設定の上にも、今(正確には10年以上前だけど)我々が面している様々な環境問題について語られているように感じられる。

鶴田 謙二: おもいでエマノン

 小説のコミカライズというのは、あまり上手くいっている例を見ることがないけれど、本作は至高の出来だと感じました。
 エマノンシリーズの第一話とも言える「おもいでエマノン」の物語を忠実に、かつ旅愁豊かに描き上げています。
 刹那の出会いと別れ。
 さっぱりしてて、ちょっと切ないけれど綺麗な物語です。小説を読む習慣の無い方でも、このコミックスは読んでみる価値があるかと思います。

梶尾 真治:おもいでエマノン

おもいでエマノン (徳間デュアル文庫)
梶尾 真治
徳間書店
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 タイトルにもなっている「エマノン」は生命の歴史を全て記憶している女性。いや、記憶しているというより、世代を超えて体験し続けているといったほうが正しいだろうか。
 この作品は、そんな彼女が放浪の先で出会う様々なヒトとの物語を描いた連作中編集。

 彼女の記憶、悠久の時の流れの中で、彼らと過ごした時間はほんの一瞬でしかない。しかし彼女はそうしたスタンスでヒトと接しない。どこか達観している部分はあるが、真摯にヒトと向き合っている。
 原始地球からの生命と共に歩んできたエマノンの話であるから、その内容も生命とは何だろうか、と考えさせられるものが多い。

 ちなみに、鶴田謙二氏の作画でコミックスとしてリバイバルしている。今年の5月出版なのでかなり新しい作品。最近までAmazon品切れだったのだが今見たらあったので早速注文しました!