乙一
集英社 (2003/06)
売り上げランキング: 6,231
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おすすめ度の平均:
おもしろかったです
珠玉の四編
「BLUE」
毎回のことだが、不思議な雰囲気がする。裏表紙には「ファンタジー・ホラー」などと謳われているが、決してホラーでは無いし、ファンタジーでもないだろう。非現実的なことが起こっているという意味ではファンタジーなのかもしれないけど。さわやかな切なさが残ってしまう、そんな4つの作品を収録した短編集だ。
個人的な感想だけど、この短編集にテーマを掲げるなら「喪失」という言葉がしっくりくる。もちろんその様なテーマは設定されていないし、実際に読まれた方からは笑いを買うかもしれない。本当に話の構成は様々なのに、色々な人たちが何かを失っている。作品のタイトルや内容の焦点のものが失われるわけではないのだが、その「喪失」を通して私が漠然と感じたもの、それが「さわやかな切なさ」だと思う。
特に収録作「BLUE」がオススメなので、機会があれば是非御一読頂きたい。