図書館戦争シリーズの最終巻。おなじみの面々ともお別れと思うとちと寂しくなるのはどの物語でも同じだが、このシリーズでは登場人物の個性が一番の味となっているので特に一層その感が強い。
3エピソード収録されているが、本筋となるのはやはり手塚と柴崎の話だろう。まぁ思った通りにハッピーエンドへと向かう無難なシナリオで、不器用な二人が劇的にくっつく様は、さながら何度も繰りかえし上映された映画のような感じではある。
しかし、最後の畳みかけは陰と陽のコントラストがあまりにも素晴らしすぎて、そこまでの陳腐な物語など吹き飛ばしてしまう。なんていうのだろう、このじめっとしたあまりにも気味の悪い心理描写は、女性にしか書けない類のものだと思う。後味が悪くならないように最後は特別に大甘のデザートで〆、といったところか。