螺旋階段(6)

螺旋階段(6) | 螺旋日誌Which does “必要” mean, necessity or importance?


本当に何気ない会話。テレビで、無人島で暮らそうっていう企画をやってた。
多分日本人の80%は知ってるお笑いタレントが、四苦八苦しながら、色んなことに挑戦する。

「本当に必要なものだけ持って、無人島で暮らすのって素敵じゃない?」
不意に聞いた亜季の声。あまりに流れるようだったので、最初はテレビの声かなって思ったくらい。
そんな彼女に、僕はちょっと悪戯っぽく返事がしたくなる。
「必要なもの、その中に僕は入ってるのかな」
こめかみの辺りに手を沿えて、彼女は答える。
「貴方は『もの』じゃないでしょ」
「…ん〜そりゃそうだけども」

 僕が聞きたかったのはそこじゃないんだけどな。

 時折、僕は自分が居なくても誰も困らないんじゃないかって思う。泣いてくれる人は居るかもしれない。でも僕に依存している人なんて、居ない。依存されるのが好きだとは思わない。でも、何とも思われていないのも寂しいじゃないか。僕は多分彼女に依存している。今彼女が居なくなったらと考えるだけでゾッとするのだ。好きとかいう感情はとっくに通り過ぎて、一緒に居るのが当たり前になりすぎた。恋人として、これは好ましい感情ではないのだろうけれど。
 僕が居なくなったら、彼女は泣いてくれるかも知れない。でも、生きていけないわけじゃない。彼女にとって僕とは、importantな存在ではあるかもしれないけど、necessaryなわけじゃない。僕にとっての彼女もきっとそうなんだ。

 それがちょっと寂しくて。

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