螺旋階段(6)

螺旋階段(6) | 螺旋日誌Which does “必要” mean, necessity or importance?


本当に何気ない会話。テレビで、無人島で暮らそうっていう企画をやってた。
多分日本人の80%は知ってるお笑いタレントが、四苦八苦しながら、色んなことに挑戦する。

「本当に必要なものだけ持って、無人島で暮らすのって素敵じゃない?」
不意に聞いた亜季の声。あまりに流れるようだったので、最初はテレビの声かなって思ったくらい。
そんな彼女に、僕はちょっと悪戯っぽく返事がしたくなる。
「必要なもの、その中に僕は入ってるのかな」
こめかみの辺りに手を沿えて、彼女は答える。
「貴方は『もの』じゃないでしょ」
「…ん〜そりゃそうだけども」

 僕が聞きたかったのはそこじゃないんだけどな。

 時折、僕は自分が居なくても誰も困らないんじゃないかって思う。泣いてくれる人は居るかもしれない。でも僕に依存している人なんて、居ない。依存されるのが好きだとは思わない。でも、何とも思われていないのも寂しいじゃないか。僕は多分彼女に依存している。今彼女が居なくなったらと考えるだけでゾッとするのだ。好きとかいう感情はとっくに通り過ぎて、一緒に居るのが当たり前になりすぎた。恋人として、これは好ましい感情ではないのだろうけれど。
 僕が居なくなったら、彼女は泣いてくれるかも知れない。でも、生きていけないわけじゃない。彼女にとって僕とは、importantな存在ではあるかもしれないけど、necessaryなわけじゃない。僕にとっての彼女もきっとそうなんだ。

 それがちょっと寂しくて。

ブックマーク パーマリンク.

Tatsuya/spyral について

アラフォー雇われ機械設計技術者。 試作・工作機械・航空機・自動化ラインなど広く浅くやっております。 岡山県在住。大阪、名古屋に在住歴。 熱しやすく冷めやすい、広く浅いオタクです。 二次元ではない嫁を探しています。結婚しました。 ガジェット、カメラ、Android、プラモ(AFVほか雑食)、フィギュア造形、に興味があります。3DプリンタはZortrax M200、Photon所持していますが大抵遊ばせているのでご依頼いただけれれば出力可能。 フィギュアの造形できないけどなんとなくワンフェス・ガレキ勢。 読書目標は100冊/年。(永遠の課題)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください