四季 夏

四季 夏 | 螺旋日誌

四季 夏
四季 夏

posted with amazlet on 06.12.24
森 博嗣
講談社
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 「すべてがFになる」の登場人物である、「天才」真賀田四季。彼女の視点からその半生を描く物語、2冊目。今までに読んだどんな物語よりも美しく、どんな伝記よりも恐ろしいものだった。


 夏。それは特別な季節でもない。ただ毎年流れていく気温の変化。本作の中ではその気温の変化だけであるはずの「夏」が感じられる。しかしそれは、キャンプをしたり、花火をしたりといった「夏」とは無縁だ。作中には花火や遊園地といった、夏を思い出させるような背景が描かれており、四季自身もそれを楽しんでいるかのようにも見える。

 しかし、四季の夏は冷たいもの…そして生暖かく終わるものであった。そこに燃え上がるほどの熱さは存在しなかったのだろう、私にはその気持ちは読み取れなかった。彼女は冷徹という概念すら理解できないというが、彼女のことを冷徹というにも言葉が追いついていないほどだ。おそらく世界中のどんな言葉を使っても、表現をすることは不可能だろう。

 「美しい」が一番しっくりくる。
 この物語…そして四季は残酷だが、美しい。

 実際の季節もまた、時に残酷だが、美しい。

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Tatsuya/spyral について

アラフォー雇われ機械設計技術者。 試作・工作機械・航空機・自動化ラインなど広く浅くやっております。 岡山県在住。大阪、名古屋に在住歴。 熱しやすく冷めやすい、広く浅いオタクです。 二次元ではない嫁を探しています。結婚しました。 ガジェット、カメラ、Android、プラモ(AFVほか雑食)、フィギュア造形、に興味があります。3DプリンタはZortrax M200、Photon所持していますが大抵遊ばせているのでご依頼いただけれれば出力可能。 フィギュアの造形できないけどなんとなくワンフェス・ガレキ勢。 読書目標は100冊/年。(永遠の課題)

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