海堂 尊:チーム・バチスタの栄光

海堂 尊:チーム・バチスタの栄光 | 螺旋日誌

第四回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作品、押しも押されもせぬベストセラー。
映画化もされたようなのでかなりメジャーな作品だ。

手術室という、特異な場所で行われる殺人。
そして多くの監視の目が光っているという点である意味密室とも言えるのだ。
直接死に関わるようなモノを持ち込むのも不可能。
かつ、術死に見せかけたように殺さなくてはならない。

そもそもこれは、本当に殺人なのか?

病院という舞台、それも手術室で術死に見せかけての殺人、というのは新しさがある。
だが私は手放しで絶賛できるほど(それこそ、「このミス大賞」に即確定するほど)、このミステリーが面白いとは思わなかった。
この作品は確かに「すごい」かもしれない、でも「面白い」と感じなかったのは単に私の偏った嗜好のためだと思われる。
(どんなに高い料理でも相性次第で嫌いになってしまうように)

殺人事件を主題としたミステリーにしてはそのトリックと動機の部分はかなり弱すぎると思う。
全く読者に知らせないでいた事実をもってして「犯人です」というのはミステリーとして禁じ手ではないか。
その上で犯人が解った時に全く意外性が無い、というか、登場人物の誰が犯人でも「ふーん」で終わってしまうような終わり方だ。
実際、マルチエンディング仕様にもできるんじゃないかと思う。
そのあたりの詰めが甘いので、謎を探偵役と共に考えるタイプのミステリー読者には読みづらいのではないか。

けれど、登場人物それぞれの個性は生きているし、それぞれに裏エピソードというか、秘密にしていることがある。
それを聞き取り調査などを通じて明るみに出していく様はなかなか面白いかもしれない。

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