オーデュボンの祈り (新潮文庫)
posted with amazlet on 08.02.11
伊坂 幸太郎
新潮社 (2003/11)
売り上げランキング: 1294
新潮社 (2003/11)
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伊坂幸太郎氏のデビュー作である。現実感のないミステリ、といったところだろうか。ファンタジー小説に分類するには無理があるが、かなり現実離れした設定であることは間違いない。
ハッと息をのむようなスリルもなければ、最後にすごいトリックが待っているわけでもない。ただ、パズルのピースをはめ込んでいくように、だんだんとすべての事象の関連性が見えてくるのは悪い気分ではない。
主人公である「僕」の現実から考えると、不可思議すぎて実感のわかない島での生活を綴った物語である。その一方で確かに現実も存在しており、そちら側とも事件はリンクしている。その点は面白いのだが、「僕」は島の不可思議さだけを強調して考えているように思え、現実の自分としての心理描写が少ないように感じた。