狼と香辛料 (電撃文庫)
posted with amazlet on 08.02.11
支倉 凍砂
メディアワークス (2006/02)
売り上げランキング: 36
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ライトノベルの素材というのは基本的には同じものであるハズ。だのに、味付けが違うだけでこうも魅力的な作品に仕上がってしまうのだな、というのを改めて思い知らされる作品である。第12回電撃小説大賞において銀賞を獲得した本作は、中世ヨーロッパを思わせるファンタジー寄りの世界、そして獣耳を持つ少女、というか神様、と行商人の旅を描いている。
そう、主人公は行商人だ。ファンタジー冒険ものによくあるような、剣と魔法の世界ではなく、為替と相場の世界で生きている。行商人同士の、商会を巻き込んでの騙し合い、化かし合いが本作の醍醐味だ。加えて獣耳の少女、もう一度言うが豊作の神様なのだが、の特徴的な仕草ときたら。ライトノベルには萌えありきであるし、どの作品でもそれは変わらないのだが、この絶妙のバランスはこの作者にしか醸し出し得なかったのではないか。
読んだ後に、「獣耳は良いものだ」と思わない自信がある人は、是非読んでみて欲しい。3ページ程度でその自信は崩れ落ちるだろう。いや、それは言い過ぎた。すいません。