直木賞受賞作。やっぱり文学賞モンは私には早すぎるようで、と言いたい所だけど意外とすんなりと読めた。
一応恋愛小説ということらしいのだけど、私が好むようなボーイ・ミーツ・ガールでハッピーエンド、あるいはドラマにありがちな運命的に出会った二人、幾多の困難を乗り越え云々、というのでは無い。
というか、事前に恋愛小説と聞いてなかったら私には主人公の心の細かな揺れ動きを感じ取ることができなかったろう、と思う。現に恋愛小説だと解って読んでいても難しい。
読むだけなら簡単だけれど、言葉の端々に現れる繊細な心情を感じ取りながら読み進めていくのはなかなか難しい。
そしてどこか切なさを残しながらも、続いていく日常に「これでいいのだ」、と思わせる、小さな幸せを発見できる結末だった。