一気に読んだので一度に書いてみる。
メディアワークス (2006/06)
売り上げランキング: 45
前作から引き続いて幸せそうな旅路を続けるロレンスとホロに、過酷なまでに冷たい現実が突きつけられる。追い詰められ、ロレンスは一世一代の大博打をうつ。それだけの窮地に陥ってしまったわけだが、果たして彼に勝算はあるのだろうか?
そんなロレンスを手玉にとって予想外の表情を見せるホロ。その萌え要素を押さえているのはもちろんのこと、芯となるストーリィも、危なげがない出来。あまりに王道通りに進む物語でありながらも、果たしてその終局に至るまでどのように登場人物が出会い、それぞれの策で相手を出し抜くのか、見物だ。
ホロとロレンス、二人のやりとりをニヤニヤと見守りながらも、ページを捲る手にはほどよい緊張感が生まれていることに気づく。読み終えた時に思わず漏らしたため息は、二人の無事を安堵してか、物語と情景の美しさに感嘆したからか。ファンタジーライトノベルとして、珠玉の出来である。
メディアワークス (2006/10)
売り上げランキング: 50
1巻・2巻とともに、ロレンスとホロは運命を共にしていた。ロレンスはホロの力に(計らずとも)頼ってしまっていたし、ホロもそんなロレンスを放っておけなかったし、放っておかれたくなかった。二人は短いつきあいなりに依存していたのだ。
しかし本作、3巻ではそんな二人の関係に亀裂が。ロレンスは独りで相手を出し抜く策を練らなければならない。二人の関係を修復させることが先決なのかもしれないが、ホロに拒絶された彼ができることは商人としての勝負しかなかったのだ。
1巻でも2巻でも大きな絶望があり、そこから這い上がる姿を描いたものだったが、今回はまた違った意味でのショックを味わわせてくれる。悲しさよりも怖さ。失うことへの恐怖を旨く描いている。
それでもお約束通り(?)穏当にまとまって、4巻へと続くわけだけど、最後まで気が抜けない展開はもう支倉氏のお手のものになっているようだ。
メディアワークス (2007/02)
売り上げランキング: 76
ホロの故郷を探して北への旅を続けるロレンスとホロ。何の見返りがあるわけでもないこんな旅に付き合うロレンスは本当にお人好しだと思う。そこが良いのじゃが。
今回も、ある雪の村で罠にはまってしまうロレンスとホロだが、ホロの力を持ってすれば簡単に逃げ出せてしまうものだった。しかし二人が逃げ出せば、疑いの渦は若い二人の村人を巻き込んでしまうだろう。それならばと、一緒に逃げ出すことにした二人の姿に、ホロは自らの故郷での姿を重ねて…。
毎回何らかの苦難に苛まれる二人だけど、その内容が必ずしもお金のことではなかったりするのが面白い。しかし商人である以上、お金を絡ませた物語も進行していて、そこにロレンスの商人としての器量を読みとることができて心楽しい。
ただ今回は、ラストを綺麗に仕上げようとしすぎて少し無理をしたのでは、と思う箇所がいくらかあった。ここまで完璧に綺麗に納める必要性があったのか疑問だ。しかし宗教と権力の問題、経済の問題をうまく絡めてある点でかなり興味深い内容となっている。