「それで、その密室殺人ってのはどういうトリックなの?」
恋人同士の会話として、かなり間違っている例だと思う。
仕方が無いので、僕はキーを叩く手を止め、亜季の話にのってやることにした。
「何でいきなりトリックを聞こうとするかな」
彼女は飽きれたような顔で僕の方を見ている。何か変なことを言っただろうか?僕が不思議そうな顔をしていると、彼女はやれやれ、といった感じでコタツの方へ行ってしまった。
「そういうのは、まず状況を聞いてトリックを見破らないとダメだよ」
テーブルの上にカップを置き、コタツに潜り込みながら彼女は続ける。
「そんなんじゃミステリは読めないよ。最初っからトリックがわかってちゃ面白くないでしょ?」
「まぁそりゃそうだけど…」
僕もそろそろキーを打つ指先が寒くなってきたので、コーヒーを片手にコタツに御邪魔することにした。もそもそと24時間営業のコタツに潜り込む。
「それじゃ、その密室の状況ってのを教えてもらおうかな」
そうして、僕は不本意ながらミステリ作家としての手ほどきを受けることになったわけだ。もっとも、途中から眠くなってしまって、亜季が肝心のトリックや真犯人などをしている時には上の空だったのだけど…。それは彼女も同じことだったらしく、気付くと二人ともテーブルの上に突っ伏して眠ってしまっていた。
ハッと目を覚ますと、深夜と呼べる時間帯になってしまっていた。はるか遠くを走る車の音が時々聞こえるくらいで、その他は一切の静寂だった。彼女は相変わらず僕の隣で寝ていた。つくづく無防備な娘だと思う。よく一人暮らしができたものだと、感心するほどだ…
このまま寝かせておいても良かったが、とりあえず自宅に帰るように促してみることにした。
「亜季〜?もうこんな時間だぞ。帰らなくて平気か?」
「ん…んん…?」
反応はするものの、どうもまだ夢見心地のようだ。無理に起こすこともないか、そう思った僕は、再びそのまま同じように眠りに落ちていった。
その時に起こさなかったことは、僕にとって何気ない日常でしかなかった、はずだ
亜季ってと前田しか浮かばん=ω=
>郁流
むしろそれが狙いです(=ω=)b
まぁそれはウソですが
あの娘ももう20歳ですか、俺も歳とるはずだわね